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自律神経失調症のメカニズムについて
コラム
2023.05.20

自律神経失調症のメカニズムについて

自律神経は交感神経と副交感神経の二つに分かれます。
内臓の機能を支配する自律神経は、交感神経と副交感神経の二つの神経系統から成り立っています。交感神経の中枢は、背骨の中を通っている脊髄にあります。交感神経は交感神経幹の神経節から皮膚や血管、心臓、肺、食道、胃、腸、肝臓、腎臓、膀胱、性殖器など全身の器官に広く枝分かれしています。一方、副交感神経の中枢は、脳神経の末梢や、脊髄の下のほうの仙髄と呼ばれるところにあります、やはり神経節を通して全身に分布しています。

交感神経は、別名「昼の神経」と呼ばれ、昼間、活動的なときに活躍する神経です。交感神経が働くと、瞳孔は拡大し、心臓の拍動は速くなり、血管は収縮して血圧を上げ、体はエネルギッシュな状態になります。自律神経は、体を動かしたり、寒さや暑さなどの物理的な刺激にのみ反応するわけではありません。精神的な刺激に対しても働きます。たとえば強い恐怖を感じたとき、興奮したとき、激しい怒りを感じたとき、緊張したとき、悩みや不安をかかえているときなども、それらに反応して交感神経が働きます。

副交感神経は「夜の神経」とも呼ばれ、体を緊張から解きほぐし、休息させるように働く神経です。副交感神経が優位になると、瞳孔は収縮し、脈拍はゆっくりとなり、血圧は下降して、体も心も夜の眠りにふさわしい状態になります。自律神経の働きは、そのときどきの状況に応じて体をうまく適応させることですが、それを具体的にみると、このように交感神経と副交感神経という二つの神経が必要に応じて、ちょうどスイッチを切りかえるようにお互いがうまく切りかわりながら、各器官の働きを調節していることがわかります。そのおかげで、体や心の健康が保たれているのです。

二つの神経のバランスがくずれると自律神経失調症に本来このように、昼間は交感神経が働き、夜になると副交感神経が働いて、うまく自律神経のバランスが維持されているため健康が保たれています。ところが、悩みや心配事をかかえて交感神経の興奮状態が続いたり、夜ふかしして生活のリズムが乱れ、本来なら副交感神経の働く時間帯に交感神経が働く状態が続いたりすると、二つの神経の切りかえがうまくいかなくなります。そして、交感神経だけが、極端に偏って働くようになります。つまり自律神経のバランスが崩れるのです。その結果、ときには活動させ、ときには休息させるという各器官のコントロールがうまくいかなくなり、全身ありとあらゆる器官にさまざまな不定愁訴があらわれてきます。これが自律神経失調症です。