ストレスは、気づかないうちに体に様々な影響を及ぼします。
生活習慣病の代表ともいえる心筋梗塞の危険因子には、高コレステロール値、血圧上昇、喫煙、血糖値の上昇、運動不足などがあげられますが、 ストレスや性格なども深く関与しています。体がストレスを感じると、血圧や血糖値、コレステロール値を上昇させ、血液を凝固しやすくし、その結果血栓ができやすくなるのです。
生活習慣病の予防としてコレステロールだけを気にするのは、間違いといえます。そもそもコレステロールは細胞膜の成分であるリン脂質に含まれ、膜を強くする働きをしています。コレステロールが少なくなると、細胞膜が不安定になり、セロトニンの働きが低下してしまうのです。
脳には多くの脂肪が含まれており、脳の固形成分の70%が脂肪だとされます。コレステロールは脳の機能維持に必要であるだけでなく、最近では、シナプスの形成にも必要であることがわかってきています。そこで、コレステロール値が少ないと脳の機能が損なわれ、感情、行動に異常が見られるのではないかと考えられるようになりました。
コレステロール値が低いと不安神経症やうつ病になりやすいだけでなく、攻撃的になったり、 行動異常として注目されるADHA(注意欠陥障害・多動性障害)になりやすいという報告もあります。セロトニン同様、脳に作用して至福感、幸福感をもたらし、同時に痛みもやわらげると注目される物質があります。食肉から発見されたアナンダマイドです。アナンダマイドは、動物の細胞膜に含まれるアラキドン酸という脂肪酸から作られます。ジョギングなどのスポーツをして爽快な気分になるのは、快楽物質などが脳に作用するためとされています。アナンダマイドにも同様の作用があり、幸福感や楽しい気分をもたらしたり、痛みをやわらげる効果のあることが、最近の研究でわかってきました。「アナンダ」とはサンスクリット語で至福という意味です。おいしく食べて至福感を味わうことができる、牛肉にはそんな物質がたくさん含まれています。