体や体調を把握する目安と言えば「体温」。石原結實 医学博士によると現代人は低体温化しているそう。
「生理不順や生理痛を訴える女性は、たいてい低体温ですね。平熱が35度台ということも多く、中には34度台と極端な低体温の人もいるほどです」
しかし、36度台だとしても安心はできないそうです。
「実は、50年前の日本人の平均体温は36.89度だったんです。医学大事典にも、日本人の平均体温は、36.89度を基準にプラスマイナス0.34度であると書かれています。本来なら、36.5度でも低いほうの平均体温です。となると、36度台でも前半なら低体温と言えるのです」 現代人の平均体温が下がった原因のひとつには、筋肉量の減少があるそう。というのも、体温の4割は筋肉を動かすことで生じる熱なのだとか。「電車や車、エレベーターなどが普及した現代では、日常生活での運動量が減っているほか、仕事もデスクワークに就く人が多いため、筋肉量が減っています。さらに、もともと男性に比べて筋肉量が少ない女性は、低体温になりやすいのです」
また、季節に関係なく1年中あらゆる食品が流通している現代では、冬に夏の食べものを食べることもしばしば。夏の食べものは熱を冷ます作用を持つものが多く、それをもともと体が冷える冬に食べると、低体温につながる場合も。さらに、約50年前から高血圧や脳卒中に塩分が悪いとし、極端な減塩指導がなされてきたことも影響しているそうです。
「昔から、寒い地域では塩気の強い食べものを食べて血圧を上げ、体を温めていたのです。摂り過ぎは高血圧や脳卒中を招く恐れがありますが、適度な塩分は必要です」
こうした生活習慣で低体温になると、血流が滞り、体の末端に血液が運ばれなくなってしまう。その結果、さまざまな不調が現れることに。
「生理痛や生理不順を引き起こすほか、風邪を引きやすくなります。1日の平均体温になる朝10時にワキの下で計った体温が36.5度以下の人は、低体温です。運動や入浴、腹巻きなどを取り入れて、意識的に体を温めましょう」